「少子高齢化」という言葉が定着して久しい中、私たちを取り巻く環境の急速な変化による家族のあり方や生き方の多様性に伴い、子育てに対する考え方も変わってきています。
そこで今回は、広い世代の妊娠・出産、子育て、老後に至るまでの各ライフステージにおける、「子ども」に対する意識や関心についての実情を把握するべく、20-69歳迄を対象としたアンケートを実施しました。
はじめに、現在子どもがいない方を対象に「将来、子どもを欲しいと思いますか?」という質問をしてみました。
「思う(34.2%)」「思わない(33.3%)」とほぼ同率の回答でしたが、「悩んでいる」「分からない」と回答した方も約30%いらっしゃいました。子どもを欲しいと思わない方にその理由を伺ってみたところ、上位には日本の経済や将来に対する不安、育児に対して消極的といった理由が目立ちました。
- 1位:育てる自信がない・・・33.3%
- 2位:経済的な余裕がない・・・32.5%
- 3位:子どもが好きではない・・・29.8%
- 4位:自由がなくなる・・・・・・25.4%
- 5位:日本の将来が不安・・・・・17.5%
今回のアンケートでは婚姻状況に関する質問もしましたが、全世代での未婚率が36.8%となり、中でも30代が48.0%、40代も33.1%と中年層の未婚率が高いことからも、先の見えない生活環境が結婚や育児の優先度の低下につながり、少子化を加速させてしまっていると言えるのかもしれません。
ここからは「子どもに求める理想」について質問を行い、男女別や世代別の考え方や意識の違いについて注目していきます。なお、現在お子様がいらっしゃる方には、子どもがいなかった当時の理想を回答していただきました。
最初に、理想とする子どもの性別と人数を伺ってみたところ、性別については「両方(34.0%)」「特にない(31.0%)」と、こだわりを持つ方は少ない傾向にありました。人数は「2人(46.8%)」が最も多かったですが、年代別に見ると30~40代は1人、50~60代は3人と回答する方が他の年代より多く見られました。
この辺りの違いは、昭和・平成・令和と時代の生活環境によって考え方に差があるのかもしれません。ちなみに、理想の孫の人数についても伺ってみましたが、世代が上になるほどたくさん孫が欲しい傾向にあることが分かりました。
続いて、子どもにはどのような習い事をさせたいか、将来どのような仕事に就いてもらいたいのか、この2つの質問結果をランキング形式でまとめてみました。
子どもにさせたい『習い事』ランキング!
子どもにさせたい習い事については、運動系と文化系に分けて伺ってみました。運動系で最も多かったのは全世代とも「水泳(スイミング)」でした。2位以下は世代によって違いが見られ、20~30代は「サッカー」「バスケットボール」「野球」と言った球技が上位にランクインしましたが、50~60代は同じ球技でも「野球」の割合が特に多く、「武道・格闘技」も上位にランクインする傾向が見られました。
また、男女別で見ると、1位はともに「水泳(スイミング)」でしたが、男性の2位は「野球」、3位は「サッカー」、女性の2位は「ダンス」、3位には「体操」がランクインするなど違いが見られました。
一方、文化系の習い事では、全世代・男女ともに「英会話」が1位でした。この結果を受けて「子どもに海外留学はさせたいですか?」という質問もしてみたところ、「はい(23.8%)」「いいえ(22.4%)」「分からない(53.8%)」という結果となり、実際に留学させたいかはまた別問題のようです。
子どもにさせたい『習い事』ランキング!
仕事に関する質問では、学生の時にして欲しいアルバイトと将来就いて欲しい職業の2つについて伺いました。
アルバイトは、1位「何でも構わない(27.1%)」、2位「飲食店(23.8%)」、3位「塾講師・家庭教師(10.6%)」という結果となり、子どもがやってみたいと思う仕事を自由にやって欲しいと考える方が多いようです。
将来就いて欲しい職業は、全世代で「公務員」「会社員」が他と大きく差をつけて1位、2位にランクインしました。また、別の質問で「理想とする子どもの最終学歴」についても伺ったところ、「大卒」の回答が約半数となりました。これらの結果から、子どもには「大学まで卒業して、安定した職業に就いて欲しい」と思う方が性別、世代に関わらず多いことが分かりました。
また、「将来、子どもにはどのくらい稼いでもらいたいですか?」という質問もしてみたところ「500~700万円未満」と回答した方が多く見られました。世代別で見ていくと、20代は「1000~1500万円未満」、30~40代は「500~600万円未満」、50代は「600~700万円未満」、60代は「900~1000万円未満」とバラツキがあり、理想の子どもの人数と同様に、「経験してきた時代」によって収入に対する考え方には違いが感じられます。
現在は「自分らしさ」が重視される多様性の時代ですが、ジェンダーレスもその1つです。ヨーロッパを中心に同性婚が制度化される国や地域が増えつつあり、現在日本では法制度は整備されていませんが、婚姻に相当することを認める「パートナーシップ宣誓制度」(パートナーシップ制度)を導入する自治体も増えてきました[1]。
その中で、親の立場としては、子どもの同性婚についてどのような意識や考え方を持っているのでしょうか。
「子どもが同性婚をしたいと言ったらどうしますか?」という質問をしてみたところ、「相手次第(25.5%)」「分からない(46.0%)」と、70%以上の方は、いざその状況になってみないと答えは出せないと考えているようです。一方、性年代別で見ていくと、20代の若年層や女性は「認める」と回答した割合が多く、60代以上や男性は「認めない」の割合が高い傾向にありました。
今回のアンケートでは、任意の自由回答もたくさんいただき、全体を通じて「子どもが好きなことを、自由に選択して欲しい」と考えている方が非常に多いことが印象として強く残りました。
少子高齢化の問題を抱える日本ですが、子どもが安心してやりたいことができる未来を実現するために、私たちは何をすべきなのか、この機会に真剣に考えてみてはいかがでしょうか。