時代が移り変わる中で、未婚化や晩婚化、夫婦関係の在り方など、結婚観が変わりつつある日本。現在の婚姻率は1970年代前半と比べると、半分程度の水準にまで減少している点も、こうした変化の現れの1つと言えます。
では、今と昔とでは具体的にどのように結婚観が変わっているのでしょうか。そこで今回は、20-69歳の既婚者・未婚者(離婚後再婚していない方も含む)を対象に「結婚」に関する様々なアンケート調査を行いました。この結果をもとに、結婚に対する意識や考え方について、世代や性別の違いを掘り下げながら、現在の結婚観の傾向を探っていきたいと思います。
はじめに、現在未婚の方を対象に「結婚願望はありますか?」という質問をしたところ、「ある」が31.9%、「ない」と「どちらとも言えない」の合計が68.2%と、あまり結婚に前向きではない方が多い傾向にあることが分かりました。理由について伺ってみたところ、20代は「結婚生活に自信がないから」、30代は「お金と時間を自由に使いたいから」、40代以降は「必要性を感じないから」という回答が目立ちました。
続いて、もし結婚するのであれば、結婚相手に求める条件として何を重視するかを伺ってみました。こちらはどの世代も「価値観が合うこと」「一緒にいて楽しいこと」「一緒にいて気を使わないこと」など、価値観や性格の一致が結婚するうえで重要と考えている方が多いことが分かりました。
男女別で見ると、男性は「食の好みが合うこと」、女性は「誠実である・嘘をつかないこと」も条件の1つとして考えている方も多いようです。また、離婚を経験されている方は「誠実である・嘘をつかないこと」「経済力があること」「容姿が好みであること」といった、より現実的な条件を重視する傾向も見られました。
また、自由回答の中には「声が好みであること」という意見もありました。毎日一緒に生活するうえで、相手の声が好きなら、ずっと話していたい気持ちになりますし、言葉以上の安心感が得られるのかもしれませんね。
ここからは、現在既婚の方と過去に結婚の経験がある方を対象に、「リアルな結婚生活」をテーマに色々と伺った内容をご紹介します。
結婚相手と出会ったきっかけや結婚を決めた理由は何?
結婚相手と出会ったきっかけは、全体では「職場・仕事(35.1%)」と「友人・知人の紹介(20.8%)」が多い傾向にありました。世代別で見てみると、20~30代の若年層は「マッチングアプリ」の回答が目立ったのが特徴的で、これも1つの結婚観の変化と言えます。
また、自由回答では「コンビニで」「下宿が一緒だった」「留学先」といった回答もありました。本記事をご覧の方の中にも、まさかこんなところで出会うなんて、というドラマみたいな経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結婚を決めた理由のTOP3は、未婚の方に伺った「結婚相手に求める条件」と同じ結果となりました。
世代別や男女別で見ていくと、20代や女性は「誠実である・嘘をつかないから」という回答が多く見られました。一方、40代以降は「年齢的なタイミング」が結婚の決め手となった方が多く見られました。
結婚するまでの流れは世代間でギャップも
続いて、指輪の購入、結婚式のスタイル、新婚旅行といった結婚を決めてから入籍をするまでの流れついて伺ってみました。
これらの質問では世代別で結果に特徴が見られました。結婚相手に贈る指輪は、50代以上では婚約指輪と結婚指輪の両方を贈った方が圧倒的に多かったものの、20~40代では結婚指輪だけを購入したという回答が、両方贈った方とほぼ同程度の割合でした。
結婚式は全体的に「挙げた」という回答が多かったものの、20~30代は「挙げていない」や「フォトウェディングだけを行った」という回答が他の世代よりも多く見られました。新婚旅行についても、20代は「行った」と「行っていない(行く予定)」が同数の回答となるなど、近年は結婚までの過程にも考え方や行動の多様化が感じられます。
結婚するとそれまでの生活スタイルとは大きく変わり、良いこともあれば、時には窮屈さを感じてしまうこともあるのではないでしょうか。この点について、既婚者の方に伺ってみました。
結婚して良かったことで男女ともに最も多かったのが「子どもを持つことができた」という回答でした。次いで「安心できる・癒やされる」「楽しい」「経済的な安定がある」「常に味方でいてくれる人がいる」といった回答が並びましたが、同じ生活を共にする相手ができたことで、付き合っていた頃とは違う楽しさや安心感を得られるのも結婚の良さなのでしょう。
結婚生活を送る中で、結婚して良かったと感じる一方、独身の方が良かったと感じることもあるのではないでしょうか。「独身の方が良かったと思うことはありますか?」と質問したところ、35.1%の方が「たまに思う」、9.3%の方が「よく思う」と回答されました。
具体的な理由として、「ひとりの時間が持てない・少ない」「自由にお金が使えない」といったことに窮屈さを感じてしまうことが多いようです。また、「価値観の違いを感じるようになった」といった回答も多く、女性は「家事や育児が大変」という理由が2番目に多かったのも特徴的でした。結婚して子どもを持つと生活リズムが大きく変わります。それによって互いの考え方や相手に求めるものが次第に変わってきてしまうのかもしれません。
今回の調査では、結婚願望のある方よりも、今は結婚願望がない、もしくは、あまり考えていないという方が多い結果となりました。
一昔前までは、どちらかと言えば結婚は「夫婦関係の契約を結び、幸せな家庭を築くもの」といった考えが先行しがちな風潮がありましたが、現在は、個々で自由に結婚の形や夫婦の在り方を作っていくことができるようになりつつあります。多様な結婚観が出た本レポートをきっかけに、ご自身の結婚観についても考えてはいかがでしょうか。