年が明けて、最初の年中行事である「初詣」。その年の多幸を祈る人たちが、有名な寺社仏閣に詣でる長い列は冬の風物詩となっていますが、意外にも今のような初詣が習慣化したのは明治時代のこと。というのも、もともと大晦日の夜から元日の朝にかけ、氏神の社に祈願する「年籠り」を行っていたのは、一家の家長だったからです。「年籠り」には大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」があり、後者が初詣の原形となったと伝えられています。
江戸時代になると、その年の恵方に当たる寺社を詣でる「恵方参り」、初日の出を拝むといったことも行われていました。ただ、現代のように、「初詣」を一般的な年中行事だとは認識していなかったようです。
では、現代人のどの程度が「初詣」に行っているのでしょうか。「2018年、初詣に行く予定がありますか?」(dポイントクラブ調べ)のアンケート結果を見ると、約47%の人が「行く予定がある」と答えており、「予定はないが行きたい」「誘われれば行こうと思う」という回答と合せると、約80%の人が初詣に行く意思のあることがわかります。どの年代でも「行く予定がある」人が30%を超えており、近年、「パワースポット」「御朱印めぐり」のブームなども手伝って、寺社仏閣に足を運ぶ人が増えていることがうかがえます。
逆に「行かない」と答えた人が多かったのは「60代男性」でした。この世代になると、「外出好きな人」と「外出が負担」な人の差が広がってきます。そのため、出不精タイプの人は初詣にも消極的になるのではと考えられます。
また、「初詣にはいつ頃までに行く予定ですか?」という問についても、上記のような結果が得られています。「三が日中」がやはり大多数ですが、「1月7日まで」「1月中」でも初詣、と捉えている方も多いことがわかります。
初詣に行く場合、有名な寺社仏閣に足を運ぶ人もいれば、近隣の氏神、寺院に出かける人もいます。アンケートを見ると、約半数の人が「毎年決まったところ」でお参りをしているようです。これに続くのは「地域の氏神様(約40%)」「自宅や帰省先の近所(約20%)」という回答で、初詣をする人が「地域の寺社仏閣」に行くケースの多いことがわかります。
多数の人が「氏神様」に詣でる理由のひとつは、先述した初詣の由来が、「年籠り」にあるからだと考えられます。年籠りで参る氏神様とは、古代において、ある氏族・一族の祀る神様でしたが、社会の変化の中で地域を護る「産土神」「鎮守神」と同一化され、現在のような神格になったとされています。今でも子供が生まれると、初めてのお参りは氏神や地域の寺社仏閣で行う人が少なくありません。初詣は「子供の頃から自分を護ってくれる氏神様(地域の神様)で」という気持ちが、日本人には未だに息づいているといえるでしょう。
アンケート結果によると、年代や性別を問わず、「家族」で初詣に行く人が約6割をしめています。やはり、もともと一家(一族)の家長が「家内安全」や「一族の繁栄」を願う行事であったことの名残だとも考えられます。また「恋人(彼氏・彼女)と行く」「夫婦で出かける」人も少なくないようで、恋人と行く人は若年層に目立ち、夫婦で行く人は年代があがるにつれ増加しています。夫婦でという人は、子供が家を巣立ち、二人きりの生活になっていることも反映しているようです。
なお、恋人同士で初詣にいく人の中には、「そこでプロポーズした」という話も耳にします。また初詣の日に入籍したというカップルもいるようです。「年の初めに、二人の関係を新たなものにしたい」という決意の表れともいえるでしょう。
家族やカップルで初詣をする人もいれば、一人で初詣に出かける人も8%ほどいます。その大半は男性で、特に20~30代、60代に多く、20代では約2割が単独で初詣に行くようです。これに対して女性の場合「一人」という回答は少なく、友人や仕事仲間など、誰かと一緒に初詣をしています。
これは女性に比較すると、普段から男性の方が、単独行動することを厭わない傾向にあるということが考えられます。お参りだけが目的であれば、ひとり行っても問題ないのでしょう。
初詣の最たる目的は、その年を心安らかにすごせるよう祈願することです。ただ、寺社仏閣によってはお参りだけでなく、たとえば「お正月限定の御朱印」「七福神めぐり」など、期間限定の催しが用意されています。たとえば、向島百花園の開祖・佐原鞠鵜が文人と始めた「隅田川(向島)七福神(東京)」では、各寺社で各々の神様のご分体を購入し、それを宝舟(1,000円)に乗せて家にお祀りするもの。新年元旦から7日まで行われますが、毎年多くの人が足を運んでいるそうです。
また、初詣において敬虔な気持ちでお参りをするにあたり、おみくじ・お守り・絵馬・お札・破魔矢といった「縁起物」が重要な役割を果たします。これらは、楽しみの一つでもありますよね。
「どんな縁起物を購入する予定ですか?」という質問については、以下のように世代によってバラつきのある回答となりました。「縁起物」について、世代間の認識の違いが見て取れます。
なお、初詣に出かける際の服装ですが、これといった決まりはありません。ただし、帽子やサングラスを付けたままの参拝はNG。屋台などで購入した飲み物や食べ物を持ち込む、口に入れたままで寺社に向き合うのも失礼です。お参りの仕方は、寺社仏閣によってきまりやしきたりが違います。神社参拝の基本は「二礼二拍手一礼」が、中には異なるところもありますから、前もって調べておくと良いでしょう。何よりも敬虔な気持ちで、お参りすることが大切です。