導入事例道の駅米沢様
山形県の玄関口で
dポイントが県外からの集客を促進
本社:山形県米沢市
山形県の最南端に位置する米沢市。県南部を構成する置賜(おきたま)地方の中心都市であり、江戸時代の名君として有名な上杉鷹山、日本三大和牛の1つである米沢牛、近年では米沢ラーメンなどでも知られる。
道の駅米沢(michinoeki-yonezawa.jp)は2018年4月、東北中央自動車道の米沢中央インターチェンジを降りたすぐそばに開業した。地元の特産品や農産品、各種飲食店、コンビニを併設した大型施設で、米沢観光コンベンション協会が協力した総合観光案内所も設置。道の駅米沢で事業本部長を務める出川康範氏は「通常の道の駅だけではフォローしきれない、お客さまの多様なニーズに応えられるサービスを展開しています」と語る。
道の駅米沢の外観
地理的な関係上、米沢市は東京方面からの玄関口の性格を持つ。すなわち「お客さまと山形県が接する最初のタッチポイント」(出川氏)となる。この背景から県内はもとより県外からの訪問客を見込み、初年度の目標数を年間86万人に想定したが、予想を遥かに超えて200万人を突破。2021年2月には3周年を待たずに500万人を突破し、人口8万人の地方都市にある道の駅としては快進撃を続けている。
順風満帆に見える道の駅米沢の歩みだが、一方では危機感も感じていた。「東北中央自動車道を北上すれば県都の山形市、南下すれば福島市と人口の多い街があります。わざわざインターを降りて訪問していただくためには、道の駅米沢が“目的地”としての魅力を備えていなければなりません」(出川氏)。
そこで効果的にリピーターを獲得する手段として、2019年10月にdポイントを導入した。県外客の多さを踏まえて全国的に利用できる共通ポイントに魅力を感じたからだ。それに加え、次のようなメリットがあったと出川氏は話す。
dポイントののぼりでアピール
「知名度の高さや誘客施策はもちろんのこと、お客さまのセグメントを分析したり、いろんな情報発信を継続的に支援してくれたりなど、ほかのポイントカードに比べてdポイントは顧客獲得後のフォローが抜きん出ていました。一緒に伴走してよいお付き合いができることが決め手となりました」(出川氏)
成果
導入前には“お客さまがどこからどれだけ来ているか”を把握するために、係員を常駐させて駐車場のナンバープレートを1台1台チェックしながら手作業で統計データを測定していた。手間も費用もかかることから調査は年に2回のみで、アナログな手法に限界を感じていたのも事実だ。
「それ以外にも、訪問客の会話から訛りやイントネーションを聞きわけて推定したこともありました。ところがdポイントユーザーであれば属性データをすぐに可視化できるので、何県から何%のお客さまが来ているかが明確にわかるようになった。今では我々がめざした“目的地”になる店づくりを実現するために不可欠なデータです」(出川氏)
精緻なデータはマーケティング戦略に重要なヒントを与えた。アナログ統計では福島県からの訪問客を3割と推計していたが、実際は約5割。総合すると、山形、福島、宮城の3県で9割を占めていたそうだ。そして、県外からの訪問客は積極的にdポイントを利用する傾向にあると出川氏は指摘する。
地元の野菜や山菜もよく売れるという
「道の駅米沢で販売している地元の品々は、県外のお客さまにとってははじめて目にするものが多くなります。ある意味、現金を払って購入することは冒険になるわけです。そのため現金ではなくポイントで“試し買い”をするお客さまが結構いらっしゃいました。導入の初月は特に多く、ドコモのデータを見るとおよそ3人に1人が全額または一部利用でdポイントを消費されました。現在もdポイントが関与した購入が売上全体の約20%となっています」(出川氏)
工夫
dポイントの利用促進の裏には、レジでの活発な声がけがある。さらにドコモと協力しながらdポイントユーザーに対する告知を進めてきた。2020年夏には携帯電話への自動配信サービスを活用して、まずは道の駅米沢でdポイントが利用できることをプロモーションした。来店したお客さまにはリピート施策の「ファン育成プログラム」を通じてポイント増量キャンペーンを実施したり、道の駅で米沢市のドコモショップがdポイント加入キャンペーンを開催したりするなどして徐々に利用層を広げてきた。
他店で貯めたdポイントを道の駅で消費するお客さまも多いと出川氏は話す
コツコツと積み上げてきた成果もあり、最近では地元住民のdポイント利用も増えてきたとのこと。今や60代でもスマートフォンを使うのが当たり前になり、仮に持っていなくてもdポイントカードをスーパーのポイントカードのように利用する高齢者もいる。
「1年後には隣の福島市にも大規模な道の駅が完成し、その後も山形市に2か所の道の駅の開業が予定されています。単に地場の農産品や名産品を扱うだけでは競争に負けてしまいますから、その前の集客の段階から戦略的に取り組む必要がある。今後もドコモと一緒になって、よその道の駅では手がけていない集客の施策を進めていく予定です」(出川氏)
所狭しと名産品が並ぶ店内
ドコモ東北支社の田中秀和氏は「現時点では隣県のお客さまが多いですが、遠く関東方面からも足を運んでいただきやすいようなメール配信や特典内容などのご提案をしていきます。今後も道の駅米沢様の売上に貢献できるように連携強化を図ります」と話す。公共的な色が濃い道の駅であっても、柔軟な姿勢があれば “攻めのデジタルマーケティング”ができるという格好の事例である。
道の駅米沢 michinoeki-yonezawa.jp
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